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レンタルオフィスとは?便利な活用法や思わぬ落とし穴まで徹底解説!

都市部にオフィスを構えていると、従業員の通勤時間が1時間以上になるケースがあります。郊外のレンタルオフィスを利用した場合、通勤のストレスが軽くなるため、従業員の満足度向上につながるでしょう。

レンタルオフィスを有効活用できれば、スピード感のある営業や、低コストのビジネス展開も可能です。

本記事では、レンタルオフィスの便利な活用法や、思わぬ落とし穴まで徹底解説します。

目次

レンタルオフィスは時間貸しの事務所

レンタルオフィスとは、時間貸しや期間貸しで利用できる貸事務所の一形態です。

一般的な貸事務所はワークスペースのみ借りるため、オフィス家具などは利用者側で準備しますが、レンタルオフィスはデスクや什器類が揃っています。

レンタルオフィスにはコピー機などの共用設備もあるため、賃貸オフィスと同等の条件で利用できるでしょう。ワークスペースは1人用や30人用などのタイプがあり、オプション契約すると会議室の利用も可能です。

テレワークの導入で勤怠管理が難しくなった場合や、業務の拠点を増やしたいときは、レンタルオフィスで解決できる可能性があります。

貸事務所やシェアオフィスとの違い

レンタルオフィスや貸事務所、シェアオフィスなどには以下の違いがあります。

項目貸事務所シェアオフィスコワーキングスペースレンタルオフィス
契約形態賃貸借契約施設利用契約施設利用契約施設利用契約
契約期間一般的には2年1時間単位から1時間単位から1時間単位から
仲介手数料賃料の1カ月分なしなしなし
敷金・保証金賃料の3~12カ月分なしなしなし
礼金賃料の2カ月分なしなしなし
ワークスペース個室共用スペース共用スペース個室
オフィス家具なしありありあり
ITインフラなしありありあり
火災保険料年間1~2万円程度なしなしなし

貸事務所は個室を利用できますが、電話回線などの引き込み工事や、オフィス家具・事務機器類は利用者側で手配します。

シェアオフィスとコワーキングスペースは部屋を共用するため、機密情報の扱いには十分な配慮が必要です。

トータルコストやセキュリティなどを考慮すると、レンタルオフィスは費用対効果に優れているといえます。

レンタルオフィスのメリット8つ

レンタルオフィスを利用すると、以下のメリットがあります。

レンタルオフィスのメリット8つ
  • オフィスの開設費用を抑えられる
  • すぐに業務をスタートできる
  • ランニングコストを抑えられる
  • 法人登記できる
  • 立地条件がよい
  • オフィスの移転が容易
  • ビジネスチャンスを広げやすい
  • 生産性の向上を期待できる

オフィスの開設費用やランニングコストを抑えた場合、キャッシュフローが良好な状態となります。

では、各メリットの具体的な内容をみていきましょう。

オフィスの開設費用を抑えられる

レンタルオフィスは事務環境が整備されているため、開設費用を抑えられます。

デスクや椅子、書類棚やエアコンなどは最初から設置されており、必要最低限の出費でオフィスを開設できます。

貸事務所は保証金や敷金などが必要となり、オフィス家具や事務用機器の購入費も含めると、少なくとも100万円以上の開設費用がかかるでしょう。

オフィスの開設費用が高額になった場合、当面の運転資金が不足する恐れもあります。

レンタルオフィスは開設費用が低いため、ハイスペックな業務用パソコンを購入するなど、経営資源を有効活用できるでしょう。

なお、保証金を支払うレンタルオフィスもありますが、一般的には賃料の1~3カ月程度です。

すぐに業務をスタートできる

レンタルオフィスは電話やインターネット回線が整っているため、すぐに業務をスタートできます。電気や水道も運営会社が契約しており、入居直後から使用可能です。

貸事務所は固定電話などの契約を新規で申し込むため、開通までに数週間から1カ月程度かかる場合があります。物件がすぐに決まっても、インフラが整うまでは業務範囲が制限されるでしょう。

レンタルオフィスは契約直後から稼働できるため、収益化までの期間も短くなります。他社よりも早く開業できれば、取引先の開拓や、商品のシェア獲得にも有利でしょう。

ランニングコストを抑えられる

レンタルオフィスの賃料には、インターネットの利用料や電気料金などが含まれるため、ランニングコストを抑えられます。

建物全体の管理費も賃料に含まれているケースが多く、ネット環境などに不具合があっても、メンテナンス費用がかかりません。

電気や水道、インターネットなどを個別に契約すると、毎月の利用料が割高になる場合があります。レンタルオフィスで毎月の出費を抑えておけば、利益率の上昇も期待できるでしょう。

法人登記できる

レンタルオフィスによっては、法人登記に対応しています。

法人登記は会社法で義務付けられており、新たに会社を設立したときは、事業目的や本店所在地、資本金の額などを法務局で登記します。

会社の情報は登記事項証明書で公示されるため、取引先の信用を得やすくなるでしょう。資本金の額が十分であれば、金融機関の融資を受けやすいため、資金調達の面でも有利です。

国や自治体に補助金などを申請する際も、法人登記していれば、審査を通過しやすくなります。会社を設立するときや、個人事業主が法人成りする場合は、法人登記できるレンタルオフィスを選ぶとよいでしょう。

立地条件がよい

レンタルオフィスの多くは立地条件がよく、駅前や商業地域などに集中しています。

たとえば、「地域名+レンタルオフィス」でインターネット検索すると、辺駅周辺やビジネス街など、一等地のレンタルオフィスが見つかります。

郊外にもレンタルオフィスが多いため、主要駅近くのオフィスを利用すると、通勤の負担が軽くなるでしょう。レンタルオフィスが新幹線の停車駅に近い場合は、遠方の主張にもすぐに対応できます。

一等地でビジネスを展開できれば、自社のブランド力を高める効果もあるでしょう。

オフィスの移転が容易

レンタルオフィスが手狭になったときや、事業規模を縮小したい場合は、同一ビル内で移転できます。

デスクや椅子などは持ち出す必要がないため、移転にかかるコストや時間を最小限にできるでしょう。

また、レンタルオフィスは駅前などのエリアに集中しているため、同一ビル内に空き部屋がなくても、近隣の物件がすぐに見つかるケースもあります。

オフィスの移転を短時間で済ませると、未読のメールや郵便物が溜まりにくく、業務再開時に大きな負担がかかりません。

ビジネスチャンスを広げやすい

レンタルオフィスによっては、利用者向けのイベントを定期的に開催しています。パーティなどを通じて他の利用者と交流できるため、ビジネスチャンスを広げやすいでしょう。

新たな商品を開発した場合、他の利用者がモニターになってくれる可能性もあります。同じレンタルオフィスに関連性のある企業が入居していると、アライアンスによる業務提携や、新たなビジネス創出を実現できるかもしれません。

生産性の向上を期待できる

郊外のレンタルオフィスを利用した場合、従業員の通勤時間を短縮できます。通勤の負担を軽くすると、業務に集中しやすくなるため、生産性の向上を期待できるでしょう。

たとえば、1時間の通勤を30分程度に短縮できれば、自宅を出る時間を遅くしても出社時刻に間に合うため、満員電車のピークを避けられます。

通勤が快適になると、従業員の満足度が向上するため、離職率を引き下げる効果もあるでしょう。駅直結のレンタルオフィスなど、立地条件によっては営業活動の効率化も可能です。

レンタルオフィスのデメリット6つ

レンタルオフィスを利用する際は、以下のデメリットを考慮しておきましょう。

レンタルオフィスのデメリット6つ
  • オフィスのカスタマイズが制限される
  • 共用設備を自由に使えない場合がある
  • 情報漏えいのリスクがある
  • 利用時間が制限される
  • オプションによっては料金が高くなる
  • 運営会社の倒産や廃業リスクがある

オフィスに求める条件が多くなると、貸事務所が向いているケースもあるため、十分な下調べが必要です。

オフィスのカスタマイズが制限される

レンタルオフィスはカスタマイズに制限があります。壁紙やレイアウトの変更は基本的に不可となっており、オフィス家具の交換もできません。

事務用機器を持ち込めないレンタルオフィスもあるため、利用上のルールは細部まで確認してください。無断で内装を変えると、利用規約の違反となり、退去を迫られる可能性があります。

壁紙を企業のイメージカラーにするなど、オフィスのカスタマイズ性に拘りたいときは、貸事務所を利用した方がよいでしょう。

共用設備を自由に使えない場合がある

レンタルオフィスでは、共用設備を自由に使えない場合があります。

他の利用者と繁忙期が重なった場合、コピー機やシュレッダーが順番待ちになるため、業務効率が下がってしまうでしょう。

午前中は会議室の予約が埋まりやすく、緊急会議を午後に開催しなければならないケースもあります。

時期や時間帯によっては共用設備が混み合うため、会議資料はノートパソコンやタブレットで閲覧するなど、紙を増やさない工夫も必要です。

情報漏えいのリスクがある

個室タイプ以外のレンタルオフィスでは、情報漏えいのリスクが発生するかもしれません。ワークスペースの仕切りが可動式パーテーションだった場合、小声の会話でも筒抜けになってしまう恐れがあります。

共用の接客スペースは話し声が漏れやすいため、商談の内容が第三者に漏れると、取引先に迷惑がかかる可能性もあるでしょう。

プライバシーの保護やセキュリティに問題がある場合、機密情報のやりとりは個室や会議室を利用するなど、運用面の対策が必要です。

利用時間が制限される

レンタルオフィスを契約するときは、利用時間に注意が必要です。夜間利用できないレンタルオフィスの場合、繁忙期の残業時間が制限されます。

24時間対応のレンタルオフィスも増えていますが、受付のスタッフが定時退社すると、電話転送サービスを利用できません。時差が大きな外国と取引きしている場合は、業務のコアタイムが深夜になるケースもあるでしょう。

レンタルオフィスの利用時間は業務に影響するため、契約時には必ずチェックしてください。

オプションによっては料金が高くなる

レンタルオフィスにはさまざまなオプションサービスがあるため、ワークスペースを快適に利用できます。

ただし、電話転送や郵便物の受取代行などを増やすと、オプション料金が高額になるでしょう。場合によっては貸事務所よりも固定費が高くなるため、財務状況の悪化につながります。

利用頻度が低いオプションサービスがある場合は、解約を検討してもよいでしょう。

運営会社の倒産や廃業リスクがある

レンタルオフィスを利用する場合は、運営会社の倒産や、廃業リスクも想定しておきましょう。運営会社が倒産すると、レンタルオフィスを利用できないため、事務所や店舗の移転が必要です。

また、運営会社の経営状態が良好でも、事業の承継者がいなければ、将来的に廃業する可能性があります。倒産や廃業でオフィスの移転を余儀なくされた場合、顧客や取引先へ住所変更の通知が必要です。

名刺の作り変えや行政機関への届出も必要になるため、想像以上に時間とコストがかかる可能性もあるでしょう。

レンタルオフィスの費用相場

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レンタルオフィスの費用(月額利用料)は立地条件や広さ、共用設備などによって変わります。個室タイプの広さを基準とした場合、坪単価は1~5万円程度が一般的な費用相場です。

地方都市の坪単価は1~2万円程度ですが、駅直結のハイグレードオフィスなど、条件によっては相場以上の料金になるでしょう。

オフィスのグレードが高くなると、接客室のお茶出しや室内清掃、ペット預かりなどが基本料金に含まれている場合があります。

なお、レンタルオフィスの月額利用料は固定費になるため、経営状態に関係なく支払いが発生します。固定費が高くなりすぎないよう、粗利の10~20%程度を目安にするとよいでしょう。

後悔しない!レンタルオフィスの選び方

レンタルオフィスの選び方に迷ったときは、以下の判断基準を参考にしてみましょう。

レンタルオフィスを選ぶポイント
  • 広さや間取り
  • 契約期間
  • 利用料金
  • 利用時間
  • 共用設備やサービスの充実度
  • セキュリティの高さ
  • 立地条件
  • 法人登記や住所利用に対応しているかどうか
  • 運営会社の経営状態

立地条件は働きやすさに影響するため、周辺環境のチェックも必要です。近隣に飲食店やコンビニエンスストアがあると、ランチや事務用品(封筒や切手など)の調達に困らないでしょう。

弁護士や司法書士などが開業する場合は、裁判所や法務局、市区町村役場などに近いレンタルオフィスがおすすめです。

レンタルオフィスが向いている企業や業種

レンタルオフィスが向いている企業や、業種・職種はある程度限られます。基本的には在庫を持つ必要がなく、サービス提供や営業主体の企業などが向いているでしょう。

具体的には、以下の企業や業種などが挙げられます。

スタートアップやベンチャー企業

スタートアップやベンチャー企業など、小規模資本の会社はレンタルオフィスがおすすめです。

会社を設立する場合、登録免許税などの法定費用がかかるため、株式会社は少なくとも25万円程度、合同会社は6万円程度の資金が必要です。

資本金1円でも会社を設立できますが、財務体力が弱い会社とみなされた場合、販路開拓や資金調達に支障をきたします。

レンタルオフィスを利用すると初期費用を抑えられるため、事業の運営資金を確保しやすいでしょう。

IT関連の業種

IT関連の業種は基本的に在庫を持たないため、レンタルオフィスの特徴とマッチしています。パソコンとインターネット環境さえあれば、すぐに業務を開始できるでしょう。

また、レンタルオフィスの費用には光熱費が含まれるため、ソフトウェア開発でパソコンの消費電力が大きくなる場合は、電気料金を節約できます。

弁護士などの士業

弁護士などの士業がレンタルオフィスを利用すると、仕事とプライベートを切り分けやすくなります。レンタルオフィスには個室の相談スペースがあるため、依頼者のプライバシーを確保しやすいでしょう。

士業が自宅をオフィスにした場合、水道光熱費を経費にする際は、事業用と生活用に切り分ける按分計算が必要です。一方、レンタルオフィスは按分計算が必要ないため、会計処理や税務申告の負担を軽減できます。

来客が多い業種

来客が多い業種では、オフィスを構えていると社会的信用度が上がります。

たとえば、個人事業主のネイリストなどがレンタルオフィスを利用した場合、経営の安定性や固定客の多さをアピールできるでしょう。

立地条件のよいレンタルオフィスであれば、買い物ついでや仕事帰りの利用客を見込めるため、売上げ増加を期待できます。

営業職

営業職はレンタルオフィスとの親和性があるため、効率的に営業拠点を準備できます。

特定エリアで営業展開する場合、近くのレンタルオフィスを利用すると、短期間で目標に到達する可能性があるでしょう。

また、レンタルオフィスは移転コストが低いため、営業目標をクリアした後、別のエリアに移転しても最小限の費用に抑えられます。

レンタルオフィスを利用するときの注意点3つ

レンタルオフィスはビジネスに有効活用できますが、想定外の出費が発生する場合もあります。

本店所在地にする場合は、定款の住所表記にも配慮が必要です。

レンタルオフィスには以下の注意点があるため、現地や契約内容を十分に確認しておきましょう。

レンタルオフィスを利用するときの注意点3つ
  • 必ず内見する
  • 契約内容を十分にチェックする
  • 定款の住所を市町村までにしておく

必ず内見する

レンタルオフィスを利用する際は、必ず内見(内覧)してください。

現地に出向いて内見すると、騒音の影響や受付の品質、共用設備の常態などがわかります。内装や外壁などを工事している場合、騒音で業務に集中できない場合があります。

築年数の古いレンタルオフィスを契約する際は、工事予定があるかどうか確認しておきましょう。

受付は自社のスタッフと勘違いされるケースがあるため、接客品質が低かった場合、会社のイメージを悪くします。

ラウンジやトイレなどの共用設備についても、清掃状況をチェックしておくとよいでしょう。

契約内容を十分にチェックする

契約期間内にレンタルオフィスを退去すると、違約金を請求される場合があります。

契約書に中途解約の禁止条項があった場合、違約金として残期間の利用料相当額を請求されるでしょう。また、月額利用料の支払いが滞ると、レンタルオフィスの契約を強制解除されるケースもあります。

契約内容を十分にチェックしなかった場合、レンタルオフィスを利用できなくなる恐れがあるため要注意です。

定款の住所を市町村までにしておく

レンタルオフィスを本店所在地にする場合、定款の住所は市町村までにするとよいでしょう。

本店所在地の住所は最小行政区画(市町村)までの表記で構わないため、番地まで記載する必要はありません。定款に「○丁目○番地○号」まで記載すると、業務拡大で近くのレンタルオフィスに移転する場合、取締役会や株主総会の決議が必要です。

本店所在地の住所を市町村までにしておけば、オフィス移転に関する事務負担を軽減できるでしょう。

まとめ

レンタルオフィスを活用すると、従業員の満足度や生産性の向上を期待できます。

人材確保は中小企業の重要課題ですが、通勤のストレスを解消し、業務に集中しやすい環境をつくれば、長く働き続けてもらえるでしょう。

レンタルオフィスは初期費用や固定費も抑えやすいため、キャッシュフローも良好な状態になります。他の利用者と交流できれば、アライアンスやビジネスマッチングの機会にも恵まれるでしょう。

なお、レンタルオフィスにはさまざまなタイプがあるため、安易な選択は失敗につながる恐れがあります。

レンタルオフィスの選び方に迷ったときは、 Office Connectのサイト内検索を活用し、条件にマッチしたオフィスを探してみましょう。

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